僕には、1年半付き合っている彼女がいる。彼女には、僕が生きづらさを抱えながら生きていることを正直に話してある。なかなか理解されないこの生きづらさを彼女は理解し、受け入れてくれている。
そんな彼女は僕にいろんなことを教えてくれた。僕が考えつきもしなかったような考え方をいくつも教えてくれた。そのうちのひとつをここに書いておきたい。僕のように生きづらさを抱えている人には、ぜひ試して欲しい考え方だ。
あるとき、僕は自分がキライすぎて、変わりたい変わりたい、と切望していた。でも、なにをどうしていいか分からない、変わりたいとどれだけ望んでも変わらない、とにかく自分への絶望しか見えなかった。
そうして苦しむ僕を見て、彼女はこう言った。
「変わりたい、って思ってるだけでいいんだよ」
「え?」
「まずは、変わりたい!って思うだけでいいの。なにもしなくていいの。」
「なにもしなくていいの...?どういうこと...?それで変われるの?」
...
彼女は、まずは思うだけでいい、と僕に言った。僕ははじめ彼女の言っていることがまったく理解できなかった。思ってるだけで変われるわけがないじゃないか、それなりに行動を起こさないと変われないに決まってるじゃないか。そう思った。
だけど、彼女は「最初は思うだけでいいんだよ」と言い切った。はじめは本当に腑に落ちなかった。思うだけでいいなんて、宗教のお祈りじゃないんだからって思ってた。だけど、しばらく時が経って、ようやく彼女の言っていた意味が分かった。
人がなにかをするとき、行動を起こすとき、変化を遂げるとき。必ずその出発点には「思い」がある。心のなかになにかをしたい、という「思い」が起こってはじめて「行動」が起こせる。そういうことを彼女は言いたかったのだと思う。
逆にいえば「思い」がなければ行動は起こせない。なにも思っていないのに、行動には移せない。僕が「ブログを書こう!」と思わなければ、ブログを書くという行動には移らない。同じように、「変わろう!」と思わなければ、そのあとの行動には移らない。
彼女があの言葉をかけてくれたときの僕には、「変わりたい」という思いはあった。だけど、あまりに自分にプレッシャーをかけすぎていた。「変わらなきゃ変わらなきゃ」と自分を追い込んでいた。
だから、そのプレッシャーを軽減し、自己嫌悪にストップをかけるためにも、「まずは思うだけでいいんだよ」と彼女は言ってくれたのだと思う。実際、その言葉をもらって、半信半疑ではあったものの、プレッシャーからは開放された。
変わりたい、だけど行動できていない。そんなとき、つい自分を責めてしまいがちだ。だけど、そんなことをする必要はない。だって、「変わりたい」っていう思いをもっている時点で、スタートラインに立てているから。変わるための第一歩をすでに踏み出せているから。
読者のなかに、“変わりたいけど変われなくて焦っている”人はいないだろうか。その人は、過度に自分にプレッシャーを与え、自分を追い詰めてはいないだろうか。行動できていない自分を責めたててはいないだろうか。もしいるなら今度は僕からこの言葉を伝えたい。僕が彼女からもらったこの言葉を。
“変わりたい、って思ってるだけでいいんだよ”