「アナと雪の女王」の Let It Go~ありのままで~を一日一回はどこかで耳にしますね。僕は無意識に口ずさんでることもある。
「自分を隠すことなくそのままの自分で、ありのままの自分でいようよ」というメッセージが込められたこの曲。とても良い歌だと思う。
僕は以前まで日課のように毎日、自己嫌悪・自己否定していた。その日々はとても辛かった。苦しかった。もうこんな自分で生きていたくないと思っていた。
もっと違う人としてなら生きたいと思えたのに。
こんな自分のまま生きるのはどうしてもいやだ。
こんなことが頭を駆け巡る自己嫌悪と自己否定がとまらない日々だった。
だけど、僕は少しずつその日課をやめるようにした。自分を否定することをやめるよう努めた。「なんで俺はこんなにだめなんだ・・・」という思いが一瞬でも浮かんだら、「いや、これでいいんだ。これが俺なんだから!」とその思いを振り払う癖をつけた。幸いにもその癖は今も続けることができていて、以前のように自己嫌悪や自己否定をする毎日ではなくなった。
自分を否定することをやめ、とりあえずありのままの自分を受け入れることに専念することで自分に自信がついた。なんとなく毎日が明るく過ごせるようになったし、活力も沸いてきた。僕は幸せになった。
だけど最近、ありのままの自分を認めることはある危険を伴うんじゃないかと思った。
それは、向上心を失うということ。今の自分。ありのままの自分。それを否定せず受け入れることで、自分自身の成長を止めてしまうんじゃないかと思う。
たとえば、やらなければならない宿題があるのにめんどくさがって後回しにしている自分がいるとする。このとき、そんな自分を否定することなく受け入れるとすると、「うんうん、めんどくさがるのがありのままの自分だから」と宿題を後回しにする自分を正当化してしまうのだ。別の例で言えば、コミュ障である自分をそのまま受け入れることは、コミュ障を克服するという選択肢を潰してしまう。「いいんだいいんだ。コミュ障なのがありのままの自分なんだから」と。
ありのままの自分を受け入れることはたしかにすばらしいことだと思う。だけど、あまりにやりすぎると今の自分を向上させる機会を失くしてしまうという危険性がある。ある程度は、「今の自分ではだめだ、もっと努力しなくては」という向上心を持つことが必要だと思う。
「ありのままの自分を受け入れること」は自己嫌悪をして自分に自信が持てない人がする場合には、かなり有効な処方箋だと思う。だけど、ある程度自尊心がある場合にはただの正当化になってしまって、ありのままの自分からの成長を止めてしまう。そういう危険性があることを頭の片隅に入れておいたほうがいいかもしれない。