北海道発のバラエティ番組『水曜どうでしょう』のディレクター陣が書いた本、『腹を割って話した』を読んだ。どうでしょうを知っている人ならご存知だと思うが、ただのディレクターであるはずなのに、もはや出演者の一人として欠かせないキャラクターになっている藤村Dと嬉野Dの二人の対談を書籍化した本だ。
本の最後に藤村Dと嬉野Dがそれぞれに短い感想というか、まとめ文みたいなものを書いている。そのうちの藤村Dの文章がとてもよかった。どうでしょうのなかでは、つねにやかましく大爆笑しているヒゲを生やしたデブでしかない藤村Dの文章に不覚にも軽く感動してしまった。
その文章というのが以下である。一部を抜粋する。
「人と話をする」というのは、生きる上でとても大切なこと、というより、それ自体が、人が生きている目的なんじゃないかと思う。人は、人と会話することで生きていくことができ、何かを生みだすことができる。ひとりで考えることも大事だけれど、だいたいそれは出口が見えない。出口が見えないとキツイ。でも、出口が見えないことを人に話して、「それわかるよ」と言われただけで、割とスッキリしたりする。別に何も解決していないのに。そう、解決しなくても、人と話ができればスッキリして、生きていける。人間、うまくできているもんだと思う。お互い「今日はいい話ができたな」と思えれば、気持ちが晴れ晴れとして、きっと何かを始められる。
生きづらくて、いろいろ悩んでいるとき、誰にも言えずにひとりで「うーん...」って考える。でもそれはだいたい出口にたどり着かない。迷路でいうと、一応どんどん進んではいるんだけど、一向にゴールには着かない感じ。たまーに抜け道とかを見つけて、ちょっと出口が見えた気がするんだけど、しばらくするとまた迷っている、っていう。
でもそんなとき、ふっと人に話したりしてみると。すーっと気持ちが軽くなったりする。「あれ、こんな簡単に?」って。ひとりで一生懸命考えてたときは、すごくしんどかったのに、人に話した瞬間にうそみたいに気分が軽くなってる。そんな経験が何度かある。「なんだ、だったらもっと早くしゃべっとけばよかった」って。
ダンゴムシの会も同じような機能を持っていて。べつに会で生きづらさの解決をしたり、克服をしたりしてるわけじゃない。みんなで集まって、それぞれの話をする、それぞれの話を聴く。ただそれだけ。たまに「もっと具体的になにかやったほうがいいのかな」って思うときもある。けど、基本は「話す」のがメインの会なんだと思っている。
やっぱり人と話すことは大事なんだと思う。このブログをはじめたころは、とにかく一人でいたい、人と関わりたくないって言ってた。けどいまは人と接することの大切さをある程度分かっている。まぁいまでもあんまり人と関わりたくないないなぁっていうのはあるけど、まったく関わらないのはいやだなと思うようになった。
この藤村Dの文章を読んで、あらためて人と話すって大事なんだなと思ったし、自分の居場所をもっと作りたいなと思った。話すだけで安心できる空間、居場所が。もっと平たく言えば、気が置けない友だちがほしいなって。あとダンゴムシの会とはべつにまたなにかやってみようかな、とか。
生きづらいときこそ、人と話すことが必要なんだと思う、たぶん。
- 作者: 藤村忠寿,嬉野雅道
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
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